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毎週更新!カナダ留学・語学学校・専門学校『生』情報

2004.01.09

Wind Valley Sailing School

『日本語で航海術を学んで世界中で船をチャーターしよう』

世界中でヨットをチャーターして自分の手でセイリング。そんな技術が身に付き、さらにインストラクターの資格も取れる1年コース。実際に船に乗り、操船の様子も取材しました。

★ライフスタイルとしてのクルージングを学ぶ学校を自ら設立。
(Bob Sendohさん:Wind Valley代表。自らインストラクターと交代で教えている。)

−カナダでセイリングを学ぶ利点とは。

「一つは、何といっても自然環境が素晴らしい点。カナダはクルージングを楽しむには、世界一の場所です。ヨットというと、南太平洋とかのイメージが浮かびますが、実際には、南国はのんびり長くクルージングするには熱いし、湿度も高いのです。その点、カナダの夏はとても快適で、自然が素晴らしく豊かです。

ヨットは激しいレースをするスポーツというイメージがあるかもしれません。それも一つの側面ですが、ここでご紹介したいのは、クルージングというライフスタイル。陸上で、キャンピングカーでキャンプに行きますよね。海上では、車の代わりにヨットを使って、風の力で移動します。セイルボートはパワーボートに比べて静かな上、非常に安定しているという利点があります。風の力を使って海の上をのんびりと移動する、これがクルージングというもので、ヨットのもう一つの側面ですが、まだまだ日本では知られていません。」

−キャンプと同じように、欧米ではライフスタイルとして認知されているようですね。

self-sufficient(自給自足)という言葉があります。なんでも自分でやらなくてはいけない。セイルボートを走らせるのはもちろん、例えば、風を読み資料を読んで進路の計画を立てられる能力、事故があったときにある程度自分で処置できる能力、船に故障があったときに修理する能力、そういったことを、なんでも自分でできる人間であるという意味です。セイリングボートは風で走っているから、風と海、天気を見ながら操ります。だから、セイリングをするなら自然のことを非常に良く知っていなくてはいけない。陸上にいる人間は、潮の満ち引きなどを体感していないですよね。でも、バンクーバーでも最大5Mの潮の満ち引きがあります。セイリングを学ぶうちに、そういったことが単なる知識としてでなく、自然に体感できるようなります。一方で、最新の電子機器の知識も大切です。世界中を自由に航海するために、GPSなどの機器を自分で使いこなせなければいけないのです。そういった意味で、自然とテクノロジーの知識のバランスの取れたライフスタイルなのです。日本ではスポーツとしてヨットを走らせることは盛んですが、総合的なクルージング・ライフスタイルとしてヨットを体系的に学ぶ人口は少ないのです。」

−それを体系的に教えるテキストを開発したのがISPAなのですね。

「そうです。実は、僕はカナダのISPAの創立メンバーです。もともと僕はCYA(カナダヨット協会)のインストラクターでした。10年前に、国際団体を作ろうという話が持ち上がって、僕と数人のメンバーでISPAを作りました。日本を除く先進国には昔からヨットの団体があって、きちんとインストラクターのトレーニング制度から始まって、サーティフィケイトを発行するシステムが整備されてきたのです。その一つがカナダではCYAでした。これを更に解かり易く、どのインストラクターに習っても同じレベルの技術が習得できる、そういうシステムにしようとできたのがISPAです。
日本にもヨット協会はあり、ヨットレースの選手育成の面では優秀ですが、クルージングをライフスタイルとして教え、インストラクターを育成するというものではありません。もともと僕はヨットを趣味で始めましたが、日本にもクルージングを紹介したいと思い、ISPAを日本にも設立したのです。」

−ISPAは現在日本にもあるのですね。では、カナダでヨットを学ぶ利点とは何でしょうか。

「まず、カナダは公共設備が非常に整備されています。陸上では公園などが美しく保たれていますが、実は海でもマリンパークが整備されていて、必要最低限の便利な設備が自然を壊さないように置かれている。日中なら無料で使えるドックもあります。そして、カナダの沿岸警備隊はとても親切で、世界一だと思います。アメリカからも、BC州沿岸にはたくさんの船がやってきますが、理由の一つに沿岸警備隊の親切さがあります。カナダの方がはるかに楽しいし、安心してクルージングができるとアメリカ人は言います。南の方の、貧富の差がある国の海は、景観の点では良くても安全面で心配ですが、カナダはその面で安心して楽しめますし、ボート同士のマナーが良いので精神的にも快適です。そういった点を経験として学べるのもカナダで学ぶことの利点でしょう。一方で日本はどうかというと、海に囲まれているけれど、気象条件は良いわけではありません。外洋に直接面しているため、少しの風で大波が立ちやすく、初心者にはちょっと厳しい。夏は暑く、ボートでは快適に寝ることができません。

もうひとつ、クルージングは社交技術でもある点が、国際社会をになう若い人にお勧めしたい理由。ヨットに乗れるというのはたしなみであり、ヨーロッパの王室はみなヨットを持っています。self-sufficientな人間を尊ぶ文化があるから、海洋民族であるせいもありますが、セイリングをする人の社会的位置は高いです。そういった意味で、クルージングは社交技術だと言えるでしょう。若い人には、国際社会でのたしなみとしても、ヨットに乗ることの意味を知ってほしいと思います。」

−セイリングは、体力が要りそうなイメージがあるのですが。

「レースのイメージがあるのでしょうが、あれはまったく別の世界ですよ(笑)。船にはウィンチというものがあって、女の人でも回せるようになっています。クルージングのスピードは、大体人間がジョギングをする程度のスピードです。」

−では、ドライブする間隔で、船を操るということですか。

「例えば知らない町を車でスピードを出して通り抜けても、印象には残りませんよね。ジョギングしたり、歩いたりすると町の様子が見えてくる。海でも一緒で、パワーボートで通り抜けたら、見逃すものがたくさんありますが、ヨットは風の力がほとんどで、風の無いときだけ動力を使うから、ゆっくり進みます。そうすると、色々なものが目に入る。自然環境にもやさしいから、自然活動家などが調査に使うのはセイリングボートなんですよ。」


来年は買った船でクルージング。
(Kengoさん:2003年度生徒)

- どうしてセイリングを学びたいと思ったのですか。
「日本ではパソコン関連の仕事をしていましたが、仕事が一段落して、次に何をしようかと考えていたときに、インターネットでWind Valleyを知り、面白そうだなと思って入学を決めました。今年の4月から初めて現在で8ヶ月目です。今は、操船全般とメンテナンスを少しずつやっています。」

−始めたときは、全く知識は無かったんですか。
「全く無かったです。今ではある程度の船の扱いに関しての知識があります。」

−この1 year Programが終わった後、日本に帰国されるのですか。
「いいえ、もう少しここにいようと思っています。実は、こちらで船を買ったんです。(注:$5000ドル:約40万円強だったそうです。)今はほったらかしですが、冬の間にメンテナンスして、来年、集中的に、この辺りをクルージングしようと思っています。」


自分のヨットで世界を回る。
(Hayaoさん:2003年度生徒)


−バンクーバーでの生活はどうですか。

「東京に比べて空気が綺麗ですね。普段午前中は英会話スクールに行き、午後はWind Valleyで1時半から5時くらいまで、セイリングを学んでいます。」

−船の操縦についてですが、一人で何でもできるようになるのでしょうか。
「ええ、この1 year programの最終目標は、シングルハンドといって、誰の助けも借りず、一人で操船できる人間を育てるというものなんです。」

−では卒業した後は、船を操ってセイリングするということができるのですね。
「ええ、僕は元々、これを終えたら自分のヨットで、数年かけて世界を巡る計画を立てていました。」

−ヨットはもう買ったのですか。
「こちらで買います。シングルハンドを考えていますから、34から7フィートくらいでしょうか。(注:写真のボートより少し大きいサイズで、6名まで寝ることができるが、生活空間として、世界を回るには少し小さなサイズ。)」

−このプログラムは、若い人たちにとって精神面でもいろいろと得るものがありますか。
「精神面というか、若いうちにこの世界があるというのを知ったら、その人の人生にとって、素晴らしいものになるんじゃないかな。」


★学校と授業の風景
教室のある建物が橋の下に張り出している。すぐ下に船が止まっている。
船がたくさん並んでいる様子。
いざ、これから船に乗せてもらいます。
操船の準備をする。
帆を縛っているロープを解いて、広げる準備をする。
帆が揚がりました。完全に、風力だけで動いている状態。
穏やかな海面。少しだけ風が出ている。
船の内部のソファ。キッチンやトイレもついている。
そろそろ帰ろう、といって方向を転換。操船席でハンドルを握らせてもらいました。

★授業は実践の比重が多い。
(Hidekazuさん(左):インストラクター/通称BJ。) 

−では、経歴を教えてください。
「もともとWind Valleyの生徒でした。98年から習っていますが、実際にインストラクターになったのは、3年くらい前で、インストラクターとして本格的な活動をしだしたのは去年からです。その前は別の仕事をカナダでしていました。今年は完全にインストラクターに専念してやっています。日本では船乗りをやっていて、大型船に乗っていました。」

−現在3人の生徒さんがいるのですね。
「ほとんどSendohさんと私が入れ替わりで教えています。分野によって、僕が良く知っている分野があったり、Sendohさんが良く知っている分野があるので、得意分野を教えています。」

−全体として、理論と実技の割合を教えてください。
「どっちかというと、実践メインでやっていっています。理論もしっかりとテキストにまとめられていますので、それをまずやっていきますが、そればっかりに固執するのでなく、実際に外に出てやっていこうという方針なので、外に出ている方が多いですね。」

−使っているテキストは、日本語なんですね。
はい、Sendohさんがすべて、英語から日本語に訳したものです。」

−英語力が無線などで必要になってくると思いますが、実際どの程度必要ですか。
「もちろん、”ペラペラに話せる”というのは求めていないです。私たちがやろうとしていることは、安全にクルージングをすることなので、それに必要な日常会話ができることと、それに必要な英語のガイドブックが読みこなせること、その2つに分かれますね。」

−その、英語を読みこなす、という部分は授業の中でやるのですか。
「はい、英語も少し入ってきます。あと、VHFというラジオ無線を使ってカナダ人とコミュニケーションを取らなくてはいけないので、その練習もします。」

★元々ワーキングホリデーでカナダに来て、今ではこちらに移住しています。
(Atsushiさん(右):Wind valleyでセイリングを習いながら手伝っています。)

−日本で船を持つ人口は少ないのではないでしょうか。
「そうですね、でも自分の船を持たなくても、レンタカーのように各地でボートをチャーターすることができます。僕自身も、ここで操船を習った後、ニュージーランドやカリブ海に飛行機で飛んで、現地でWind Valleyのサーティフィケイトを見せて、操船できるということを証明してボートをチャーターしました。これはとても一般的です。船の中で寝ることができますから、ちょっと高いホテルに泊まるよりは全然安く上がります。



<取材後記>

普段、バンクーバーでたくさんの船が停泊している風景を見なれてはいましたが、実際にバンクーバーダウンタウンの橋の下からドライブ間隔で船を出せるという気軽さは、目からうろこの体験でした。この体験を繰り返していたら、世界でヨットをチャーターするということも、気軽にできそうだ、と納得。

日本からカナダに留学して英語を学び、キャリアカレッジでビジネスやコンピュータ−など色々な技術を学んでいる方は多いですが、セイリングを学んで違った形のスキルを得るという選択がここにありました。Wind Valleyは少人数・日本語でself-sufficientのライフスタイルを実践しながら学べる、貴重な学校です。校長のBobさんは、セイリングの技術だけでなく、その社会的な役割や世界中のセイリング事情についても詳しく、とても頼りになります。セイリングは、ドライブするよりむしろ危険は少ないとのことですし、女性でもセイリングはできるとのことですので、16歳以上の健康な男女ならだれでもOKです。オプションで、カリブ海に行くこともできますよ。

2004年の春から1年プログラムが始まります。セイリングに興味があり学んでみたいという方、ぜひ参加してみてはいかがでしょう。1年後、ボートを一人で操る、たくましい自分が発見できるのではないでしょうか。また釣り好きの方、アウトドア好きの方、日本では珍しい特技を身につけたいという方にもお勧めです。

レポート Jpcanada.com取材班(kiri)



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