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2001.9.26.
Vancouver Kyokushin Karate

『国境を越えた武道、極真空手をバンクーバーで学ぶ』

世界のスポーツ人口で見た場合、空手の愛好者数を合計すると、空手は上から数えて4番目に位置しています。そして、空手を学べる国数も130ヶ国を上回ります。今や世界の共通語となったKarate、その一端を担うVancouver Kyokushin KarateのRichmond道場を訪れてみました。

★先生も生徒もすごいフレンドリー。最初の印象が良かったので、スンナリと始められました。
(マユミさん・・・カレッジの学生。空手を始めて3ヶ月強。最近オレンジ帯(白帯の上)に昇級。)

−空手をはじめたきっかけについて、教えてください。
「何かスポーツがしたくて、たまたま自分の友達が空手のパンフレットもってきてくれたので、軽い気持ちで道場見学に来たんですよ。それで、来てみたら先生とか生徒とかすごいフレンドリーで。それまで、空手って言ったらすごく堅苦しいのかなって、勝手に思ってたんですけど、全然そんなことなくて(笑)。最初の印象がすっごく良かったので、スンナリと始められました。」

−空手の稽古は面白いですか?
「そうですね。やっぱりスパーリング、ファイティングとかをやって、自分がどれくらいできるのかなって、チャレンジするのが面白いです。空手だから、最初見たときはけっこう痛いのかな、って思ってたんですが、最初は自分が白帯(初心者)だったので、みんなそういうところをキチンと見ててくれるから、結構大丈夫ですよ(笑)。逆に、こっちが慣れてくると、自分もいろんな技ができるようになってきて、自分から相手にバンバンやってくから(笑)。今では全然抵抗ないです。

−生徒さんも、色々な国の方がいますね。
「そう、日本人の先生だから生徒も日本人ばっかりだと思ってたら、この道場はすっごくマルチカルチャーで、カナダ人、ロシア人、イラン人、インド人、中国人とか…。あと、女性の生徒もたくさんいたりして、ホントに最初はビックリしました。」

−空手は、普段の生活に役立っていますか?
「外国にいると、これは自分でも反省していることなんですけど、日本的な礼儀の正しさとか、例えば年上の人を敬うとか、敬語をキチンと使うとか、そういう大事なことを忘れかけてしまうので、道場に来てそれを学べるということは大きいですね。あとは、フィジカル的に強くなれることとか…。あ、メンタル的にも、なんとなく強くなったな(笑)というような、そういう自信が持てるようになったし(笑)。ウップン晴らしにもなってるかも(笑)。」

−今後の目標について、教えてください。
「基礎を固めていって、もっともっと自分の技を使えるようになっていきたいです。今は、普通のパンチでも、みんなからかっこ悪いって(笑)言われているから。あと、文武両道を、自分はすごく目標にしているので、スポーツをやりながら、勉強も頑張ろうって思ってます。道場系のスポーツって、やればやるほど味が出てきて、奥が深いから、毎回の稽古が本当に楽しいです。」


★稽古に集中してしっかりと基本を身につけ、最終的には黒帯を目指したい。
(ケイさん・・・現在はケガで療養中だが、それまでは毎日練習をしていたという稽古熱心な道場生。)

−空手を始めた理由を教えてください。
「バンクーバーに住んで3年になりますが、変化の少ない普段の生活にもっとアクセントをつけたいな、と思って始めました。実は、もともと、高校生の時に3年間少林寺拳法をやっていたので、その頃から空手に対する憧れは自分の中にありました。」

−空手の魅力について教えてください。
「空手はダイナミックな動きが魅力です。少林寺拳法は、受け手の技が多いのですが、空手の場合、自分から攻めて行けるし、技も大きく力強さを感じます。」

−空手を学ぶ事は楽しいですか?
「はい。空手はとても奥が深いです。毎回、稽古のたびに、自分の弱点とか足りない所を見つけて、それに対して、また試行錯誤しながら、絶えずチャレンジしつづけられるという所、それが楽しいですね。」

−中村先生を大変慕っているそうですが。
「やはり、中村先生の魅力というものが、ここで空手を続けるという非常に大きな理由の一つです。先生に会って、先生は本当に空手が好きで好きで、一人でも多くの人に空手を楽しんでもらいたいという気持ちを持っていて、授業料もコミュニティセンターと比べても安いと思いますし、本当に志に沿って生きているという印象を受けます。そんな先生から、本当に刺激を受けますね。先生が自分に厳しく、ピシッとやっているのを見ていて、『先生も頑張っているから自分も頑張ろう』って、そう感じます。本当に先生に会うだけでも価値があると思いますよ。」


★稽古風景


突きの練習。気合を入れてのかけ声もこだまする。
 
二人一組になってのスパーリング練習。

基本となる『型』を、皆の前で披露する。
 
礼儀作法を学ぶ事も重要。正座をして精神を落ち着かせる。

★空手を学ぶということは自分自身へのチャレンジである。
(Deanさん・・・7歳から空手を始めたという若手のベテラン選手。黒帯の選手であると同時に、後輩の指導にもあたる。)

−ディーンさんにとって、極真空手とは何ですか?
「極真空手は、フルコンタクトスポーツであるだけでなく、伝統的で、洗練されていて、偉大なるスタイルだと思っています。そして、それは型や技を学ぶというだけでなく、良い精神を保つにはどのようにしたらよいか、を学ぶ場でもあります。厳しいトレーニングの中で、それらを学ぶことになります。」

−極真空手を学ぶ上で大切な事は何ですか?
「とにかく一生懸命練習することです。疲れていても、どんな状況でも、休まずにチャレンジしつづける事です。チャレンジし続ける事で、フィジカル的に強くなるだけでなく、メンタル的にも強くなることができます。」

−強い選手とは、どのような選手でしょうか?
「いろいろな要素がありますが、例えば、試合中には決してギブアップしない強い精神を持つ事です。今まで見てきた試合の中で、試合中に闘争心を失ってしまった選手を何度か見たことがあります。強い選手は、試合中にあきらめるようなことは決してしません。私も、大会に出る時は絶対に勝つつもりで試合に臨みます。しかし、試合が終わった後には、お互いに握手を交わし、それぞれ相手のことを心から尊重します。」

−怖いと感じるはありませんか?
「そのような感情があるのは事実です。しかし、一度試合が始まれば、試合では勝つことだけに集中します。試合中は決して勝利をあきらめることなく、最後まで戦い抜く気持ちを持ちつづけています。」

−何か目標はありますか?
「幾つかのタイトルを取ることです。例えば、NYで行われるアメリカズカップや、イーストカナディアンカップ、ウエストカナディアンカップなどです。」

−それらは取れそうですか?
「もちろんとりたいけど。来年また来てインタビューしてくれませんか(笑)。」

−中村先生は、その大会にはエントリーしないのですか?
「それは先生だけが知っている事(笑)。僕は彼がエントリーしない事を望むよ(笑)。」


★極真空手に入る最初の動機は、「運動不足解消に」「強くなりたい」「武道を習ってみたい」などに代表されるように、非常にカジュアルなものです。
(中村龍志先生・・・バンクーバー極真空手道場の主催者。極真空手の普及に向けて日夜邁進する。)

−道場の歴史について教えてください。
「90年の12月に、ワーホリでバンクーバーに来ました。もともと、単に1年間海外で暮らせれば良いなという軽い気持ちだったのですが、空手はそれ以前からずっとやってきていましたので、91年の6月にバンクーバーカレッジで道場を見つけて以来、ずっと空手を教えてきています。」

−今では道場も4つ。着実に根が広がりつつありますね。
「そうですね。最初教え始めた時も、自分の英語の勉強になれば良いな、程度の気持ちだったのですが、気が付いたら10年経っていました。実は、ダウンタウンの道場は始めたばかりなので、まだまだ道場生が少ないです。ダウンタウンの道場では、自分は昼間だけ教えています。」

−月謝も低い(38ドル/月から)ですよね。
月謝はできる限り押さえています。自分が貧乏性なもので(笑)、貧乏学生の気持ちがわかりますから。ちなみに、日本で極真空手を学んだ場合の月謝は1万円前後です。」

−空手を通じて、生徒に何を学んでもらいたいですか?
「一番に気づいて欲しいのは、一生を通じて貫いてできるものの一つが空手である、という事ですね。結局、人生の節目節目で、友人や仕事や住む所が変わっていき、自分自身も変わっていきますが、空手なら一生を通じて変わらずにできます。その人が人生を振り返った時に、そのバックボーンが空手であるならば非常に嬉しいですね。私もまだまだ学ぶ事がありますし、空手はそれだけ奥が深いです。」

−空手は誰しもが学べますか?
「はい、老若男女問わず全ての人が空手を学ぶ能力を備えています。実際、極真空手に入る最初の動機は、『運動不足解消に』『強くなりたい』『武道を習ってみたい』などに代表されるように、非常にカジュアルなものです。しかし、空手は武道であり、稽古は苦しいですから、どこまで自分を追い込んで自分を鍛錬できるかが重要になってきます。そして、自分を追い詰めて行って自分の弱さが出てきた時に、それをさらけ出すのが嫌な人は、残念ながら辞めていきます。」

−試合には参加しなければならないのですか?
「トーナメント(試合)への参加は道場生自身の判断に委ねています。インストラクターが強要する事はまずありません。しかし、試合に出場する事により、精神的、肉体的に様々な経験をすることになり、それが武道の最終目的である自己啓発に繋がります。ただ、試合に勝つ事が最終目的にすりかわらないようにしなければなりません。試合への出場はあくまで武道人生の一部です。

−帯について教えてください。
「帯の色は7種類ありますが、それぞれの帯にはストライプという階級があるので、全部で14段階になります。昇級は、審査会というものを通じて行います。空手は人生を通じてやるものですが、次の帯と言う目先の目標を設定して、集中力を維持するという意味においても、帯は重要です。」

−稽古以外には、どのような活動がありますか?
「帯の昇級を決める審査会、バンクーバーカップや道場内でのトーナメントといった大会や試合、泊まりがけで行われる合同合宿、それ以外にもBBQパーティや忘年会なども行います。例えば、今年の夏にオカナガンの北で合同合宿を行ったのですが、BC州やAB州にある30近い各極真空手道場から、計200人くらいが集まりました。」

−空手を教えるのは楽しいですか?
「楽しいですね。自分の教えた生徒が強くなるのはもちろん、集中力に少し欠ける生徒がだんだんピシッとしてきたり、皆の成長が見えるのでやりがいがあります。」

−最後に、夢について一言。
「バンクーバーにいる全ての人に、極真空手という名前を知ってもらえれば、と思っています。」


★12月1日には、バンクーバー近郊における年に一度の極真空手大会、第二回バンクーバーカップが行われます。それに先立ち、リッチモンド道場で予選会が行われました。
 →第二回バンクーバーカップの詳細はここをクリックして下さい。


予選会の応援に集まった大勢の人達。
 
予選会の様子。上段蹴りを受け止める。

予選会の様子。突きを受け止める。
 
体重別クラス毎に、上位三名がバンクーバーカップに出場。


<取材後記>

ピンとはりつめた空気の中、気合のこもったかけ声が道場に響き渡っていました。「押忍(オス)」「気合」「始め」「先生」「先輩」…。中村先生指導の元、英語で進められる稽古の中には、何の違和感も無く武道に必要な日本語がちりばめられています。初めて間近で見る極真空手の稽古の風景は、まさに真剣そのものでした。

インタビューは、稽古終了後という遅い時間にも関わらず、皆さんとても協力的でした。会う方全てが非常に礼儀正しく、それでいてユーモアにも溢れていて、日頃の厳しい鍛錬が、その人間性をより引き立たせているのだろうと感じました。また、インタビューを通じて、中村先生の空手に対する一途な想いが、生徒一人一人にも浸透している事をひしひしと感じました。

中村先生の言葉にもあったように、極真空手始めるきっかけは、皆さんカジュアルなものが多いようです。それでも稽古を重ねる中で、空手の奥深さに目覚め、お互いに刺激しあい、チャレンジする精神を忘れず、自分の弱さを一歩ずつ克服して行く姿がここでは見られます。今回のレポートを読んで、何か感ずる物があれば、是非一度中村先生を訪ねてみてください。そこにはきっと素晴らしい発見がある事と思います。

レポート Jpcanada.com取材班(Kaku)



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